鍵物語つづき10
人の心が鍵を動かした。
その鍵は、まるで人の心臓だけに反応するようだった。
ジェレミとTheeの心臓に反応した。
その鍵は、ふたつになったまるで、合鍵のようにTheeとジェレミの心臓をつないだ。
その合鍵はいつでも互いの心ぞうを開けることが出来るようになったのだ。
それからジェレミは、Theeの毎日を感じるようになった。
ジェレミは今、Theeがどんな町にいるのか、全く知らないのだ。
どのぐらいの海を渡れば会えるのか、想像も出来なかった。
しかし、ジェレミは、Theeの毎日を感じているのだ。
朝起きてTheeがどういう気分なのか、昼男子たちを誘いまた傷づき、きずっけられる時の、Theeの心臓に流れるあのつめたい涙と怒りを感じることが出来た。
夜、何をたべたのかはわからないが、たべたあとの気分がどうかは手にとるようにわかっていた。
それ以上にTheeの苦しみを、毎日の痛みも感じていた。
その凍ってしまいそうなつめたい涙がジェレミの心臓に流れていた。
そして.Theeのそのつめたい涙は、何がある度にその心ぞうの合鍵を動かした。
「知ってたでしょう」「わかっていたでしょう」「なぜなの?」
「知ってたのに…なぜ?」
ジェレミは何も言えなかった。
ジェレミは、心の中でこう言うしかなかった。
「なぜなのガは、あなたが一番ょく知っているはずなのに…」
「あなたも僕の心臓の合鍵を持っているのだから...」
・・・
「ごめん。何もやってあげられないんだ。本当にごめんなさい。」
こんな聞こえない心臓の合鍵の会話が、毎日毎日、朝も昼も夜も続いていた。
そして、やがて、その日が来た。その夜が来た。
Theeは、考えてまた考えて、そして、心に決めて、あの「ハンカチ」をさわった。合鍵が動いた。
Theeは言った。「私たち、どうする?。いフ会えるの?」
「一緒に住む? 結婚・・・しょう」