鍵物語つづき9
そのつめたい涙は、Theeのようにつめたい。彼らが待っているところから、
とても細い道がひとつ出ていた。その道はあまりにも細く一人が歩くことすら出来ない細い細い道であった。
そこに、四の足で歩くはずのジェレミが立っていた。ジェレミは一歩も踏み出せないままTheeの方を見ていた。
でも、ジェレミの顔はやさしい顔で、Theeを見ているのだった。
Theeはこうつぶやいたあんたはあなたの足では,その細い道を歩くのは無理だよ。
でも、心いつぱいこう叫んだ。行けるなら、歩けるならその細い道を歩きなさい。
絶対、あの人たちのところまでたどりつくのよ!もしたどりつけないとしたら私が赦せないわよ!
はなっと、Theeは目が覚めた。
Theeは、空を少し見上げ、つぶやいた。
「行けるたら、行って見なさいよ」それから、Theeはあの楽器を手にすることをやめた。
部屋の奥にしまってしまった。二度とされるまいと心でそうつぶやいた。
つめたい涙ガー滴また一滴と塔ちてしま消える音がだんだん大きく聞こえて来た。
そして、Theeはジェレミをわすれたかのように町の男子たちをさそった。
声をかけては、傷っけ、傷っけ、怒っては笑い,叫んではからかっていた。
いつもTheeの囲りには、沢山の男十こちが群がっていた。
Theeは、女の町を逃げては、また違う町に行き、またその違う畉真夜中に逃げるようにして、転々とした。
彼女の囲りにいっときも男たちがいなかった時はなかったが、いつも違う男たちが入れ替えていただけだっだ。
Theeがこんな生活に耐えられなくなる時、いつもやっていることとはジェレミからのハンカチたちを引き出しの奥からそーと出して、さわってみるのだ。そして、こうつぶやく。
「なぜ、いつもハンカチなのよ。」
そのハンカチを何回も何回もさわっては閉まって、またさわっては閉まることをしている。
Theeのそのハンカチは、彼女の深い傷をそのつめたい涙をふいてくれるようになった。
そうする度に言う。
「会いたい。」「でも、会いたくない。あの道を行ってほしいから」を、
くりかえし、くりかえし、つぶやいているThee。
Theeのつぶやきが重なっていくうちに、ジェレミは、いつの間にか、会ってもな“Theeの毎日を心臓で、感じるようになった。
「ハンカチ」は鍵となっていた。