鍵物語・일본어열쇠이야기

日本在住の韓国人と日本人のための「和얼」Jeremy's Cafe

鍵物語 つづき5

 


味ではない。

あのTheeが、あの自尊心の高いTheeが、自分のことしか思ってないTheeが、

ジェレミのことなど、一度も聞いたことのないTheeが、

ジェレミのために、こんなにたくさん、こんな大きなテーブルいっぱい

料理を用意したのだ。

 


しかも一人で、何日もかかったはずなのに、、。

その気持ちが嬉しい。口に入れる美味しいはずの料理の味は全くわからなかった。

ただただうまかった。

 


Theeは、ジェレミが聞いたことのない美しい音楽を、その大きな楽器で弾き始めた。

 


ジェレミはやっと実感が湧いて来た。

 


自分とTheeの、この世に置ける身分の差は、ジェレミが思った以上に遠いことを。

 


遠い遠いたどり着けられない距離があることを。

まるで、この世の遠くて見えない距離を置いて、それぞれ正反対側にいるのだった。

 


Theeの家柄、Theeの国の王の宮殿のすぐそばにあった。

王族でもないのに、王族よりも王に近いところに、家を構えている。

 


Theeの家は、自分たちでも把握しきれないほどの財を成していた。

 


そのうえ、医術師を始め、その国で重要視され、国が特別に管理している重要な分野に、

自分たちの家柄の人々を送り込んでいた。

 


しかも、お金でその地位に買ったわけではない。誰よりも優秀だから、重要な分野で、活躍するほど、頭もよい家系なのだ。

 


財をもって、あらゆる分野で活躍している、その国ではとても尊敬される家系のひとつだた。

 


だから、夜逃げするように、この街に逃げて来たのに、その日から、再びこんな生活ができるのだ。

 


しかも、後で知ったことだが、Theeは自分で料理の材料を買うために、数日働いた。

家から送られたお金ではなく、数日だけだったが、Theeは自分で働き、その日、その日の働いた分をもらって、そのお金で、料理の材料を買ったのだ。

 


これは、Theeにとっては、生まれて初めて、働いて稼いだお金だ。

 


いろんな工夫をして、たくさんの数の料理を寝ずに用意したのだ。

 


彼女にとって、いろんなことが生まれてはじめてのことばかり。

 


今までのTheeなら、決して話しを交わすどころか、存在そのものを無視してしまうジェレミに、ここまでしている。

 


Thee自身がとてもとても不思議であった。ありえないこと、想像すらできないこと、自分でも理解できないことをやっている自分にびっくりしているのだ。

 


ジェレミが現れた先ほど、少しだけだが、口元が微笑んでいる自分自身が不思議で仕方がなかった。

 


Theeは、今まで誰にも見せなかった微笑みを見せまいと、歯を食いしばって、

わざと、怒った表情をしている。

 


ジェレミはうれしかった。