外国人が書く日本文学
ジャンル;外国人が書く日本文学
ジェレミは、心臓の音がゆっくりと聞こえてくるたびに、かすかな光が目の奥で広がるのを感じた。
痛くない痛みで、ジェレミは目をあけることができなかった。
また、聞こえてくる。今日もまた、Theeに何かが起きている。ジェレミはこの頃、自分の痛みではなく、Theeの孤独な悲しみと苦しみを体中に感じていた。
いつからだろう。どうやってそうなったのかすら覚えていない。
ただ、息ができないほど、痛かった。
いつからか(は確かではないが、)Theeに何かが起きたとき、彼女の痛みがジェレミの心臓に伝わって来るようになっていた。
ジェレミはずっと病を持っている。その病による痛みは、彼の体をひどく苦しめているが、伝わってくるTheeの辛さによるジェレミへの痛みに比べたら、ずっと軽かった。
ジェレミは、心臓から伝わる絶えぬ苦しみに悶えながら、つぶやいた。
ごめん。何もやってあげられないんだ。やさしい声をかけることさえやってはいけないんだ。本当にごめん!
だけど、Theeの声を聞きたかった。
ジェレミの心臓は、Theeの声を聞きたいと叫んでいた。
昨日のあの時間には、また何があったの?
聞きたい。聞きたい。何もやってあげられたないけど、その声を聞きたい。
うなだれ倒れこむように、起きて椅子に座った。
その時だった。Keyが現われた。
現れたのではない、動いたのだ。
そして、Theeの声が聞こえてきた。