エピログ Promise of Key
ージェレミがTheeに書き送ったものー
あなたから、涙のついた笑顔が届いたのは、あなたの冷たく、凍った心の傷のかけらたちを拾い集めΩため、あの町々、あの島々での不思議な冒険から戻った直後でした。
鉄の石を溶かし、さまざまな道具をつくり、利便な世界をつくるのが、この世でもっともBestの道であると思っているわが町の人々は、僕の選択を全く理解してくれませんでした。
理解ところか、鉄の矢先よりも鋭い苦笑で僕をからかい、嘲笑っていました。
僕は彼らが間違ってはいないと思っています。より多くの人々がより多くの人々のためにより便利な世界をつくるためのベストの道を選ぶことは。
しかし、間違っていないそのBestの道以外の道もあると思えたのです。
(鉄の塊を用いた優れた文化の人々は、何がBestの道なのかが、もっとも重要な選択の基準でしょう)
僕は、自分が選択したい選択ではなく、『自分が選択すべき』選択をしました。
確かに、その選択した道は、この世のBestの道ではありませんでした。
自分で決めたその道は、歩けば歩くほど、わからなくなり、見えなくなるときがあります。
目に見えないものだち、ことがらは、出会えば出会うほど、僕の選択した道が見えなくなりました。
僕の選択は、決してBestの道ではありません。ただ、『鍵』によって、僕はこの世とは、異なる価値観が確かに存在することがわかりました。
それは、手につかめない、先が見えない、目で確かめることすら、出来ない道の選択でした。
そのため、「あなた」という切なるみちを捨てたわけではありません。
僕はあなたに出会わせてくれたあなたの苦笑の目の奥に流れるつめたい涙のあとを気づかせてくれたKeyによって、不思議な奇跡によって、何回も動かされたのです。
(奇跡とは、そもそも不思議なものですが)
自分ではなく、keyの選択によって動かされたのです。選択したわけではありません。動かされたのです。
これから僕は、動かされた道、歩ませられる道を歩むことになります。
その道がどんな道なのか、その道にはどんなことが起き、なにを得るのか、全くわかりません。
人は選択すべきBestの道ではなく、自分が選ぶべき道を、自分の意志で決めた道を最後まで歩き切ることが出来るでしょうか。
Theeというあなたのつめたい涙にふれ、心の奥から歩みたいと思う、自分の道を捨てて、Keyの道を歩むとき、今の僕は変わるでしょうか。
あの不思議な合鍵をあなたのものではなく、あなたがみて、僕がみた、あの人々が持っていたものに変えたことで、何かを変えることが出来るでしょうか。
Keyの道は、人の運命を、人のいのちを、その弱さを、夢と未来、希望とで、自分を変えることが出来るでしょうか。
もしかして、全く何も変わらないかもしれません。
しかし、今からあなたのいない、あなたの街に行き、どこかあるはずの、あなたと一緒にみた人々へのKeyを拾いに行きます。
その選択したKeyの向こう側のいるあの多くの人々のつめたい涙をふいてくれる「あのハンカチ」を、僕はこれから何枚持つようになるでしょうか。
時には、僕の涙もふいてくれるものはあるでしょうか。
さあ、いざ、あなたのいないあなたの街へ歩き始めます。その道へ。
その道の向こう側で、ある時Theeと約束した場所で、あなたの誕生日にまた会える日
来るとしたら、そのとき、これからの僕のあの人々への旅のことを話しさせてください。
fin.